ピエゾ アクチュエータとは?

Posted in Nanopositioning

Nov 14th 2023

逆圧電効果

ピエゾ駆動の位置決め機器は、古くから知られている圧電効果を利用して作られます。圧電効果とは、水晶に機械力を加えると電流が発生する現象をいいます。1880年、2人のフランス人科学者――ジャックとピエールのキュリー兄弟――により発見されました。彼らはその一年後、ガブリエル・リップマンによる理論的研究に基づいて実験を行い、水晶に電界をかけると物理的な変形を起こす「逆圧電効果」も実証しました。

ピエゾアクチュエータに活用しているのは、この逆圧電効果です。クイーンズゲイトは自社で開発・生産しているPZTセラミック素子の積層を、アクチュエータの駆動機構として組み込んでいます。

 

ピエゾの特性

圧電効果をナノポジショニング製品へ活用する時に重要なのは、ピエゾ素子の挙動を正確に予測し、制御することです。ピエゾ素子は軸方向に延び、放射線状(放射方向)に縮むという特性を持ちます。材料構造と分極の不均一性などの要因により、その伸縮動作は毎回同じとは限りません。ピエゾ素子が膨張すれば、積層の末端部分がねじれたり、傾いたりする原因ともなります。さらに、線形性エラー、温度変化の影響の受けやすさ、ヒステリシスやドリフトなどの特性もあります。これらのすべてが、位置決めの精度と繰り返し精度に負の影響を与えるのです。

 

クローズドループによる正確な位置決め制御

しかしながら、悪いことばかりではありません。上記で述べた特性や負の影響は、緻密な設計と丁寧な生産によって克服することができるのです。例えば、ピエゾ素子の伸縮動作を制御するために、正確に設計されたフレクシャーガイドを組み込むことは有効な解決手段となり得ます。さらに、静電容量センサーを組み込み、フィードバック機能を搭載することでアクチュエータの位置情報と挙動をリアルタイムで把握できます。この時、位置情報と入力コマンドとを比較し、差異があれば微調整を行います。高速応答で行われるため、補正するために必要な時間はほんの数ミリ秒です。このように、フィードバック機能を利用した位置補正を行うサイクルをクローズドループと呼びます。

クローズドループにより、アクチュエータの実際の位置を正確に把握し、線形性エラー、温度変化、ヒステリシスやドリフトから発生する問題を排除することができます。

 

ピエゾアクチュエータの強み

ピエゾアクチュエータには、前述の通り特有の制限がいくらかありますが、多くの利点がナノポジショニング製品に活用されています。きわめてコンパクトな構造、高剛性、低消費電力といったものから、磁場を持たないこと、極低温や真空のような過酷な環境への対応も可能であることが挙げられます。

クイーンズゲイトのピエゾアクチュエータNPS-Zは、発生力3,500Nと最大500kg荷重での動作が可能です。この荷重であっても、サブナノレベルの分解能、0.002%未満のヒステリシス、きわめて小さな線形性エラーで高精度な位置決めを発揮します。ピエゾアクチュエータの活用をお考えの際は、ぜひ弊社へお問い合わせください。

 

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